コミュタン福島で東日本大震災を振り返る日

皆さんこんにちは!スマイルピクチャーズ福島の本多です。

先日、スマイルピクチャーズ福島のメンバーと一緒に、福島県三春町にあります「コミュタン福島」に行ってきました。

コミュタン福島は、日本に現在2つしかない360度全球型シアターが常設されていたり、福島県民の不安や疑問に答え、放射線や環境問題の理解と環境の回復・創造への意識を深めることを目的とした施設です。

私自身も福島県出身で、3月11日の東日本大震災では大きな揺れを体感しましたが、震災から9年が経ち、その記憶も薄れつつありました。

しかし、コミュタン福島に行き、地震発生時の状況と今を沢山知り、改めて震災のことを考えることができた時間となりました。

特に、その中で知る事ができて良かったことは、3点あります。

①現在も原発で働き続ける約4,000人の方々について

コミュタン福島には、震災直後の原子力発電所の模型が展示されていて、施設の方が当時の状況と現在を分かりやすく教えて下さいました。

福島第一原子力発電所の廃炉作業は、30~40年かかると言われていますが、お話の中から少しずつでも廃炉作業が進んでいること、そして作業完了までは本当に時間がかかる事だということも実感しました。

また、その作業には約4000人の方々が今も作業されているということを知り、驚きました。

原子力発電所での取り組みについて詳しく知る機会は今までなかったのですが、見えないところで福島の為に、今も危険な状況の中で働き続けてくださっている方々が沢山いること、そして、その方々によって福島県が現在も、支えられ、守られ続けていることを改めて感じました。

②震災から約9年、未だ受け入れられない福島県の生産物について

福島県の生業・産業は震災の被害と同時に放射能による風評被害もありました。

震災の影響で再開することすら難しい中、それに加えて再開できても放射能を恐れられ、消費者に選ばれない。

やっと生産が可能になっても、素直に喜べない不安の中で、続けるかを迷われた方も沢山いた事と思います。

しかし、それでも福島県で働き続ける事を選び、消費者に安心してもらえるように努力を積み重ねている人がいるという事を、施設の中で拝見した映像を通して感じました。

例えば福島県は消費者に安心してもらえるように、幅広い農産物・水産物について、モニタリング検査を実施。

そこで基準値を超えた物は一切市場に出回らない厳しい検査をおこなったり、お米や牛は、放射性物質に関する「食品としての基準値」を超過する恐れが少しでもあるものは、1袋あるいは1頭たりとも流通させない“世界一厳しい基準と検査”と言われるほど徹底しています。

その中で安全を一番に考え、自分が大切に育ててきた生産物を、基準値を超えたために泣く泣く捨てなければならなかった方もいると思うと、福島県の生産物を、放射能が怖いからと簡単には言えないと思いました。

そして「福島の生産物は安心」だということをまずは知ってほしいととても感じました。

➂全国に散らばる47,000人の避難者の方々について

震災から時間が経過した今も尚、福島県の避難指示区域は7市町村(2020年3月10日時点)全国にはまだ約4万7千人(2020年3月11日時点)の方が避難生活を余儀なくされています。

9年たった今も普段の日常が戻っていない方、帰りたくても帰れずに、帰った後もどうなるか分からない状況の方が沢山いることを数字で見るとより感じました。

そして、震災後PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症され、今も苦しんでいる方がいるというお話も聞きました。

震災の時に流れていたニュースは信じがたい映像で、実際にその場所に行ったことがない私でも、思わず目を背けたくなるような内容のものばかりでした。

それが

「もし、自分が住んでいる場所だとしたら」

そう考えますと、恐怖から立ち直れていたかも分かりませんし、忘れることも決してできないと思います。

このお話を通して、今、私が普通に生活ができ、帰る場所があるということが、とてもありがたいことこだと改めて実感しました。

そして同時に、これまでの生活や環境が一変した中で、忘れることのできない記憶や恐怖、そして、不安を今も抱え続け、悩まれている方がいることなど、震災で受けてしまった精神への影響は、時間が解決してくれるものではないと、とても考えさせられました。

しかし、全国には避難した人たちへの心ない中傷やいじめ問題は多くみられ、6割超の避難者が不快な思いを経験されているのも現状です。

私自身も、震災で大きな傷を負った方に対し、何か力になることは難しい事かもしれませんが、震災はどんなものか、また被災された方はどんな気持ちなのかを考え、寄り添うことはできると思います。

福島原子力発電所の作業や地震による町の復興など、壊れてしまったものはすぐに直すことはできないですが、心に傷を負った方へ寄り添うことは、一人一人が今からでもできることだと思います。

そして、その積み重ねがいつの日か、傷を癒すきっかけになると信じています。

もし周りに、被災者の方がいましたら、差別や中傷ではない行動を選択して欲しいです。

今回、コミュタン福島に行ったことを通して、震災から9年たった現在も、様々な気持ちを抱えながら戦っている方や、努力し続けている方がいることをとても実感しました。

そのような福島の地で、今も自分が変わらず生活できていることにまず感謝することと同時に、ずっと守り続けている方がいる事を忘れずに、これからもっと福島を大切にしていきたいと思います。

皆さんも是非、コミュタン福島に足を運んでみてください。

この記事を書いた人

本多光

株式会社スマイルピクチャーズ フォトグラファー